2021年3月21日(現地時間20日)に米国で発生したユナイテッド航空ボーイング777型機のエンジン損傷事案を受け、同系列のエンジンを搭載した航空機を運航する日本航空及び全日本空輸に対し、対策の必要性の有無を検討する間、当該機の運航停止を指示しました。
ユナイテッド航空のエンジン損傷事案の概要
2021年3月21日(現地時間20日)米国コロラド州デンバー国際空港発米国ハワイ州ホノルル空港行きのユナイテッド航空328便・ボーイング777型機が、離陸直後に右側エンジンに損傷が発生したため、デンバー国際空港に引き返した事案が発生しました。
国土交通省の対応
2020年12月4日にも日本航空機において今回のユナイテッド航空の事案と同系列のエンジンが損傷した重大インシデントが発生しており、我が国においては、同系列のエンジンを搭載した航空機を運航する日本航空及び全日本空輸に対し点検頻度を引き上げた点検強化を指示しております。
一方で、今回のユナイテッド航空のエンジン損傷事案を受け、NTSB(米国国家運輸安全委員会)により調査が行われておりますが、現時点でその発生原因を含む詳細な情報については不明です。
現在、米国連邦航空局に対し本事案の原因究明及び再発防止の実施を要請し、本事案に関する情報収集を行っておりますが、安全確保に万全を期すため、本日、日本航空及び全日本空輸に対し、追加対策の必要性の有無を検討する間、当該航空機の運航停止を指示しました。
国土交通省としては、引き続き情報の収集を行い、追加対策の必要性の有無等を検討し、必要な措置を講じて参ります。
日本における同系列のエンジンを搭載した航空機の登録状況
- 日本航空:13機
777-200:9機
777-300:4機 - 全日本空輸:19機
777-200:14機
777-300:5機
ボーイング777のエンジン
上記の措置で対象になっているエンジンはプラット・アンド・ホイットニー(PW)のPW4000系エンジンです。
その他ボーイング777に搭載されているエンジンはJAL、ANA共にゼネラル・エレクトリック(GE)のGE90シリーズ、ロールス・ロイス(RR)のTrent(トレント)800シリーズがあります。
ファンブレードの材質はPW4000がチタニウム、GE90シリーズが炭素繊維強化プラスチックを使用しており材質が異なっています。
GE90シリーズのファンブレードに欠損の報告はないため、ファンブレードの材質が今回の損傷に影響を及ぼした可能性があります。
追記:ファンブレードが金属疲労により根元から破損していることが判明しました。
エンジンの損傷
エンジン内部のファンブレードが破損することによりエンジンが損傷を受け、白煙を上げながらナセル(エンジンを覆っている樽型のカバー)も地上に落とし引き返しました。
参考
まとめ
JAL、ANA共にホームページでは特定の機材に変更する旨の案内はされていませんが、機材変更のやり繰りが発生しています。
ANAでは主要路線(千歳、羽田、大阪、福岡、沖縄)で使用されているため、この路線を多く利用される方は既に影響を受けているのではないでしょうか。
今回の事故では全員(乗員:231名、クルー:10名)無事で引き返すことができましたが、空港まで遠いところを飛んでいる最中の事故だったらと考えると恐ろしい事故です。
地上に落下したエンジンの部品もかなり大型のもので恐怖を覚えます。
立て続けの事故のため原因はしっかり究明して頂きたいと思います。
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